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涌井 隆; 山崎 和彦*; 二川 正敏
実験力学, 22(2), p.96 - 104, 2022/06
高放射化物のレーザー溶断技術の開発の一環として、放射線遮へいガラス及び無鉛ガラスに対してパルスレーザー照射試験及び押込み試験を行った。鉛含有量が低いガラスに比べ、鉛含有量が高いガラスの損傷が大きく、損傷発生の閾値が低かった。押込み試験結果を基に、カルマンフィルタ及び有限要素を組み合わせた逆解析により、ガラスの微小塑性挙動を表す材料構成式の定数を同定した。流動応力は、鉛含有量の増加とともに低下し、レーザー照射により低下した。一方、塑性流動抵抗値は、鉛含有量の増加とともに増加し、レーザー照射により増加した。非照射及び照射領域における破壊エネルギーとき裂先端周りの塑性領域寸法を実験結果を基に算出した。それぞれの値は、鉛含有量の増加とともに減少し、レーザー照射により低下した。
佐伯 盛久*; 松村 大樹; 蓬田 匠; 田口 富嗣*; 辻 卓也; 齋藤 寛之*; 大場 弘則*
Journal of Physical Chemistry C, 123(1), p.817 - 824, 2019/01
被引用回数:14 パーセンタイル:53.24(Chemistry, Physical)PdCl水溶液にパルスレーザーを照射した際の、パラジウム(Pd)微粒子の形成反応メカニズムを透過型電子顕微鏡(TEM)、およびエネルギー分散型X線吸収分光法(DXAFS)を用いて調べた。266 nmの波長のナノ秒レーザー照射により形成されたPd微粒子をTEMにより観測した結果、微粒子径が照射レーザーのフルエンスに依存し、高フルエンスのレーザー照射が微粒子形成を促進することを明らかにした。DXAFSの結果よりPdの濃度を算出し、Finke-Watzkyの二段階反応に基づいた解析を行った。その結果、照射するレーザーのフォトンは、1光子過程のPdClの還元と、多光子過程のPd微粒子の自己触媒的な成長に寄与することを見出した。
蓬田 匠; 浅井 志保; 佐伯 盛久*; 半澤 有希子; 堀田 拓摩; 江坂 文孝; 大場 弘則*; 北辻 章浩
分析化学, 66(9), p.647 - 652, 2017/09
被引用回数:2 パーセンタイル:6.85(Chemistry, Analytical)ウランの核分裂生成物の一つであるPdは、半減期が約650万年と長く、長期間に渡り放射線を放出して人体に影響を及ぼす可能性があることから、高レベル放射性廃液(HLLW)中の存在量を正確に把握する必要がある。しかし、これまでその存在量の実測報告例はない。本研究では、遠隔・非接触分離が可能なレーザー誘起光還元法のHLLWへの適用を念頭に、HLW模擬液を用いて種々の分離条件がPd回収率に与える影響を検討した。Pdの回収率は、還元剤として作用するエタノール濃度、レーザー光の照射時間とパルスエネルギーに依存し、それぞれ40%、20分、100mJとした場合に60%となった。また、Pd濃度0.24g mLから24g mLの広い濃度範囲において、主要な放射能源やスペクトル干渉源となる元素を99.5%以上の割合で除去し、Pdを高純度に分離できることを明らかにした。本条件によれば、レーザー誘起光還元法はHLLWなど実際の放射性廃棄物に含まれるPdのICP-MS測定前処理法として、十分に適用可能である。
佐伯 盛久*; 田口 富嗣*; 大場 弘則*; 松村 大樹; 辻 卓也; 蓬田 匠
電気学会研究会資料,電子材料研究会(EFM-17-010021), p.15 - 18, 2017/09
パラジウム水溶液にナノ秒パルス紫外レーザーを照射すると、レーザー微粒子化反応により通常の手法ではできにくいサブミクロンサイズのPd微粒子が生成する。本研究ではその生成メカニズムを調べるため、パルスレーザー照射による微粒子化反応を時間分解XAFS分光により追跡した。そして、様々な照射レーザー強度における微粒子化反応速度を比較したところ、レーザー強度増大により反応が1光子から2光子過程に移行することを示唆する結果を得た。
西内 満美子; 榊 泰直
Isotope News, (739), p.15 - 20, 2015/11
レーザー駆動型の多価重イオン加速手法について、最近原子力機構関西光科学研究所において得られた結果を紹介するとともに、それらのビームの特徴から考えられる新しい応用先についての展望を述べる。
西内 満美子; 榊 泰直
日本原子力学会誌ATOMO, 57(10), p.677 - 681, 2015/10
光、すなわち超高強度短パルスレーザーと、固体薄膜とを相互作用させることで、ほぼフルストリップ状態の鉄の原子核を0.9GeVで加速して取り出すことに成功した。既存の加速器イオン源技術ではなかなか達成が難しいと考えられる多価重イオンを数十フェムト秒という極短時間で作り出し、同時に高エネルギーに加速できることを実験的に示した。まったく新しいタイプの小型のイオン源開発に一歩前進したと言える。
阿部 浩之; 下村 拓也; 徳平 真之介*; 島田 幸洋*; 竹仲 佑介*; 古山 雄太*; 西村 昭彦; 内田 裕久*; 大道 博行; 大島 武
Proceedings of 7th International Congress on Laser Advanced Materials Processing (LAMP 2015) (Internet), 4 Pages, 2015/08
短パルスレーザー(ナノ秒,フェムト秒)を水素吸蔵合金表面層に照射し、水素吸蔵能向上を目指す表面改質実験を行った。レーザー条件をパルス幅100fsec、エネルギー0.2-3.4mJ/pulseとして、水素吸蔵合金LaNiAl合金に照射することで表面の局所構造を変化させ、この吸蔵合金の初期水素吸蔵反応とレーザー照射との相関について調べた。その結果、フルエンスで2.0mJ/cm付近でのレーザー照射したサンプルは未照射サンプルに比べ、1.5-3.0倍水素吸蔵初期反応速度が速くなり水素吸蔵能が向上することを見いだした。これによりレーザー照射は水素吸蔵材料の表面改質に有効であると結論づけられる。
西内 満美子; Choi, I. W.*; 大道 博行; 中村 龍史*; Pirozhkov, A. S.; 余語 覚文*; 小倉 浩一; 匂坂 明人; 織茂 聡; 大東 出*; et al.
Plasma Physics and Controlled Fusion, 57(2), p.025001_1 - 025001_9, 2015/02
被引用回数:3 パーセンタイル:13.67(Physics, Fluids & Plasmas)超高強度レーザーと薄膜との相互作用によって発生する電子ビームと陽子ビームによる同時イメージングを行った。20ミクロンメートルの電子源及び10ミクロンメートルの陽子源からの電子、及び陽子線で、メッシュのクリアなイメージ取得に成功した。これらの情報から、それぞれのビームの源のサイズ、位置、ビームのエミッタンス等を求めた。また、物理現象を比較するため、2DPICコードとの比較も行った。
西村 昭彦; 竹仲 佑介*; 古山 雄大*; 下村 拓也; 寺田 隆哉; 大道 博行
Journal of Laser Micro/Nanoengineering, 9(3), p.221 - 224, 2014/11
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Nanoscience & Nanotechnology)耐熱FBGセンサをフェムト秒レーザー加工により製作し、原子炉配管の高温に適用した。このセンサを鋼板表面に実装し、共振条件での振動試験を実施した。本センサの耐熱性能は600Cである。安定化波長可変レーザーを使用して原子炉の日常点検のモニタとして利用できることを試験した。このセンサを繰り返し歪み計測を行なえるよう振動鋼板に取り付けた。溶接、ロウ付け、半田付け、そして貴金属接着剤など、各種の取り付け方法について議論した。
西村 昭彦; 寺田 隆哉; 竹仲 佑介*; 古山 雄大*; 下村 拓也
Proceedings of 22nd International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-22) (DVD-ROM), 6 Pages, 2014/07
2007年より、原子力機構ではレーザー・光技術を用いた構造健全性の監視技術開発を実施してきた。超短パルスレーザー加工によるFBGセンサが最有力手段である。耐熱性を最も有効に活かすためにレーザー肉盛り加工により埋め込みを行った。ステンレス鋼材に溝加工を施した。熱源にはQCWレーザーを使用し、フィラーワイヤを溶接した。溶接ビードは良好なものとなった。FBGセンサはしっかりと固定されたが、反射スペクトルに劣化は認められなかった。FBGセンサは衝撃や音響振動を効果的に検出することができた。加熱により6nmの反射ピークのシフトが得られ、これは600度の温度上昇に相当する。FBGセンサを固定するための小型レーザー肉盛り装置についても紹介を行った。
Sherrill, M. E.*; Abdallah, J. Jr.*; Csanak, G.*; Dodd, E. S.*; 福田 祐仁; 赤羽 温; 青山 誠; 井上 典洋*; 上田 英樹*; 山川 考一; et al.
Physical Review E, 73(6), p.066404_1 - 066404_6, 2006/06
被引用回数:29 パーセンタイル:75.57(Physics, Fluids & Plasmas)電子と原子のキネティクスを連立して解くモデルを用いて、極短パルスレーザー照射Arクラスターから発生したK殼X線スペクトル(He線)の解析を行った。このモデルでは、非平衡電子エネルギー分布関数はPICコードを用いて生成したものを用いた。その結果、X線は極めて非平衡な状態にある高密度プラズマから発生しており、その時間スケールは約5.7psであることがわかった。また、さらに固体密度に近い10cmを超えるイオン密度のクラスタープラズマの生成が可能となった場合には、X線発生のタイムスケールはフェムト秒となることが明らかとなった。
Sherrill, M. E.*; Abdallah, J. Jr.*; Csanak, G.*; Kilcrease, D. P.*; Dodd, E. S.*; 福田 祐仁; 赤羽 温; 青山 誠; 井上 典洋*; 上田 英樹; et al.
Journal of Quantitative Spectroscopy & Radiative Transfer, 99(1-3), p.584 - 594, 2006/05
被引用回数:3 パーセンタイル:18.36(Optics)本研究では、電子分布関数が非熱的、かつ、イオンの内部状態が非定常であるような極めて非平衡なプラズマ中における電子と原子のキネティクスを自己無矛盾に解くモデルを開発した。このモデルを用いて、原研100TWレーザーを用いて測定されたArクラスターからのK殼X線スペクトル(He線)の解析を行った。
山本 春也; 武山 昭憲; 吉川 正人
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 242(1-2), p.377 - 379, 2006/01
被引用回数:9 パーセンタイル:53.55(Instruments & Instrumentation)硫黄を添加した二酸化チタン(S-TiO)の粉末試料では、可視光領域の光吸収の発現など光学的特性が変化し、光触媒性の向上が見いだされている。そこで本研究では、S-TiO粉末を原料とした薄膜の作製を目指し、パルスレーザー蒸着法を用いて多結晶及び単結晶構造のS-TiO膜の作製を試みた。作製した膜について、X線回折,ラザフォード後方散乱法などを用いて構造評価を行った。その結果、硫黄の添加量を数at.%の濃度で制御し、シリコン基板上にアナターゼ型の多結晶TiO膜,サファイア(0001)単結晶基板上にルチル型のTiO(100)単結晶膜を作製することができた。本研究よりTiO膜中の硫黄濃度を制御する主なパラメータは、ターゲットの組成,成膜中の雰囲気,基板温度であることが明らかになった。
Chen, Z. Q.; 山本 春也; 河裾 厚男; Xu, Y. H.; 関口 隆史*
Applied Surface Science, 244(1-4), p.377 - 380, 2005/05
被引用回数:16 パーセンタイル:55.73(Chemistry, Physical)酸化アルミ及び酸化亜鉛単結晶基板を用いて、パルスレーザー沈殿法により、ホモ及びヘテロエピタキシャル酸化亜鉛薄膜を作製した。原子間力顕微鏡により観測された表面ラフネスは基板材料に依存していることがわかった。すなわち、ヘテロエピ膜の表面ラフネスの方が、極めて大きいことがわかった。陽電子消滅の結果は、ホモエピ膜の方がより高濃度に結晶欠陥を含むことを示した。ラマン散乱測定は閃亜鉛構造に由来する437cmのピークを示した。いずれの膜も非常に強い紫外発光を示し、それらが優れた光学特性を持つことが明らかになった。
熊田 高之; Karavitis, M.*; Goldschleger, I. U.*; Apkarian, V. A.*
放射線化学, (79), p.30 - 35, 2005/03
放射線化学過程を理解するうえにおいて、放射線により物質に付されたエネルギーがどのくらいの速度でどのような緩和過程を経るのか理解することは必須である。本研究はCARS(コヒーレント反ストークスラマン分光)法を用いて固体クリプトン中におけるヨウ素分子の振動緩和の研究を行ったものである。10K以下では分子振動のエネルギー緩和が、それ以上では位相緩和が分子コヒーレンスを破壊する主要因であることが判明した。また温度依存性の実験とシュミレーションから、位相緩和には40K付近のエネルギーを持つ局在フォノンが関与していることが判明した。
Karavitis, M.*; 熊田 高之; Goldschleger, I. U.*; Apkarian, V. A.*
Physical Chemistry Chemical Physics, 7(5), p.791 - 796, 2005/02
被引用回数:30 パーセンタイル:69.33(Chemistry, Physical)7-45Kの固体クリプトン中に捕捉されたヨウ素分子の振動量子状態のエネルギー及び位相緩和をフェムト秒レーザーによる時間分解型コヒーレント反ストークスラマン分光法(CARS)を用いて調べた。振動のエネルギー緩和速度は温度に依存せず、振動量子数vに比例することがわかった。位相緩和速度は指数関数的な温度依存性を示し、vの2乗に比例することがわかった。前者はヨウ素分子振動のエネルギー緩和に伴いそのエネルギー差に相当するフォノン4つを生成していること、後者は熱的に生成した固体中に既存のフォノンとの弾性散乱により引き起こされていることが示された。シュミレーションにより振動の位相緩和を誘発しているのは、ヨウ素分子の秤動運動を伴うモードのフォノンであることが明らかになった。
越智 義浩; 長谷川 登; 鈴木 庸氏; 助川 鋼太*; 河内 哲哉; 岸本 牧; 永島 圭介
JAERI-Tech 2004-062, 32 Pages, 2004/11
繰返し頻度0.1Hzで動作する軟X線レーザー装置のドライバーレーザーとして、高繰り返しチャープパルスレーザーシステムの設計を行った。前段増幅部としてパルスの制御性にすぐれた光パラメトリック増幅器(OPCPA)を用いた。主増幅部にはレーザーガラスを用いるため、優れた放熱効果にすぐれたジグザグスラブ型増幅器を用い、小さいビームサイズでマルチパス増幅させた後、ダブルパス増幅を行う二段階増幅を採用した。また、像転送系をシステム全体に組み込むことで増幅レーザー光の空間強度分布の均一化を図った。本報告では、各部分について試作器を製作して行った増幅特性評価の結果と、それをもとに決定したシステムの最終仕様について報告する。
Choi, Y.; 山本 春也; 梅林 励; 吉川 正人
Solid State Ionics, 172(1-4), p.105 - 108, 2004/08
被引用回数:41 パーセンタイル:82.25(Chemistry, Physical)光触媒能を有する二酸化チタン(TiO)結晶は、環境問題を解決する材料として注目されている。アナターゼ構造のTiO結晶はルチル構造のそれに比べて、触媒活性が高いことが知られており、アナターゼ構造のTiO薄膜を作製する技術を開発することが、今後、極めて重要になると考えられる。本研究では、酸素雰囲気で基板温度を調節することによって、炭化チタンをタゲットとするパルスレーザー蒸着法によりアナターゼ構造のTiO薄膜の作製に成功した。薄膜試料の表面状態を原子間力顕微鏡で、その化学結合状態をX線光電子分光法で調べ、それらをTiO粉末試料の結果と比較しながら議論した。
出来 恭一*; 松岡 史哲*; 鄭 和翊*; 有澤 孝
レーザー研究, 31(12), p.854 - 859, 2003/12
硝酸バリウム,カルサイトの2種の利得係数の大きく異なるラマン結晶を用いて後方ラマン光発生とそれに伴うパルス圧縮、及び増幅の基礎特性を実験的に調べた。硝酸バリウム結晶では15倍のパルス圧縮比と50%以上のストークス光の反射率を達成した。また、後方ストークス光発生時、主パルスに引き続く第2パルスが広い条件下で発生することを見いだし、かつこの第2パルスはラマン発生用結晶配置の調整により制御可能であること、またラマン増幅器においては、ポンプ光と入力光の出会いのタイミングの調節によって主パルスのみを選択的に増幅でき、第2パルスが無視できる程度にその相対強度比を低め得ることも実験的に明らかにした。以上より、複雑,高価なCPA方式を用いない、簡便な手段により小型,低価格の短パルス(数十ピコ秒)レーザーの実現が可能であることを実験的に示すことができた。
大道 博行
レーザー研究, 31(11), p.696 - 697, 2003/11
本小特集では、超短パルス超高強度レーザーと物質との相互作用に関し、電離,プラズマへのレーザーエネルギーの変換,電子加熱,プラズマからの粒子,X線の放射等について順を追って解説している。超ペタワットレーザーの拓く相対論の世界と題する解説では、相対論的レーザープラズマの中で、電子のみでなく陽子も相対論効果が顕著になる10W/cm以上のレーザー強度のプラズマ物理について論じている。実験室宇宙物理学と題する解説では、繰り返し超短パルス高強度レーザーの特徴を活かした研究テーマを検討する。このようなレーザーによる照射で生じる固体密度プラズマを用いた極限物性状態について論じている。超強磁場生成等超高強度レーザー生成プラズマ中でおこる現象と天体現象との関連を論じている。このほか産業利用に向けた取り組みを紹介し、小特集の位置づけを行っている。